今日の市場における「金」の価格

現在、「金」は、投資や宝飾品としてだけではなく、それ以上の価値があります。金は、ある種の電子機器や医療機器の製造にも使われており、これが市場での価格変動に大きく影響します。

2021年3月時点で、金の価格は1オンスあたり1,700ドルを超えており、2020年9月に比べて大幅に高騰しています。現在、金の価格は1オンスあたり1,813ドルで、なお上昇は続いています。しかし、乱高下する今日の市場においては、一体何が金の価格を動かしているのでしょうか。では本記事では、金価格の上昇の秘密について探っていきましょう!

中央銀行の備蓄

中央銀行では、紙幣を保有するほかに、金の備蓄もしています。中央銀行が外貨準備を紙幣から金へと分散させると、金の価格が上昇します。実際、多くの国における中央銀行の準備金は、主にほとんど金で構成されています。2019年、金の最大の買い手だったのはトルコで、ロシア、ポーランド、中国がそれに続きました。 

米ドルの価値

金の価格は、一般的に、米ドルと関連があります。これは、金の額面が米ドル建てになっているためで、米ドルの価値が強い時には、金の価格は低く抑えられる傾向にあります。

逆に、米ドルが弱くなると、需要の増加によって金の価格が上昇する可能性が高まります。米ドルの価値と逆相関の関係にあることから、金がインフレ対策に利用される場合が多いです。 

世界規模の宝飾品および産業の需要

ワールド・ゴールド・カウンシルによると、2019年、金の需要のほぼ半分が宝飾品業界によるもので、その量は4,400トン以上でした。宝飾品用の金の最大の消費国は、数量ベースでは米国、中国、インドです。また、金の需要の8%近くが、技術・産業利用によるものです。

その結果、金の価格は、需要供給の影響を受けることになります。金を用いた宝飾品や電子機器等の消費財需要が増加すると、金の価格も上昇します。 

財産の保全

不況期に経済が不安定になると、金の価値が持続することから、金への投資に目を向ける人が多くなります。金は多くの投資家から、困難な時期の「安全な逃避先」と見なされているのです。債券、不動産、株式等の資産価値が下落すると、金への投資が増えるため、金の価格が上昇していく可能性があります。

このように今日の市場では、多くの要因が金の価格変動に影響します。現時点では、金の価格上昇を牽引しているのは、米ドルの価値下落ですが、明日はどうなるか分かりません。